第15回 不動産投資って?(2)
・小口化不動産投資
もし、不動産投資が現物不動産投資のみであった場合、参加者は非常に限定され、マーケットとして見た場合もかなり小さなものになってしまいます。
そこで、ネックとされる資金的な面を解消する手段として不動産小口化商品が登場しました。
簡単に言えば、共同オーナーとして参加してもらおうという仕組みです。
例えば、1棟30億円する商業ビルを1,000口に分けることで、1口あたり300万円となります。投資家は、1口以上を出資することで、商業ビルの運用に一部参加することができます。
このことにより、不動産投資の参加の障壁は低くなっていきました。
小口化不動産投資の流れとしては、まず始めに、不動産会社等が投資家から資金を調達するために受け皿(組合)を設立します。
組合は投資家から集めた資金で賃貸マンションやオフィスビル、商業ビルなどを購入あるいは建設し、そこから得られる賃料収入や売却収入によって収益を上げます。
この収益を出資した投資家へ分配する仕組みです。
また、投資家にとっては所有権ではなく共有持分権を手にすることとなり、投資対象不動産の管理の煩わしさから開放されます。
このような仕組みは1987年頃から始まりましたが、バブル崩壊により賃料収入の大幅な下落や不動産業者の倒産などにより投資家が被害を受ける投資事故が多くみられるようになりました。
また、法的な規制も未整備でした。
そのような背景のもと、1995年4月に不動産の小口化商品に関する投資家の保護及び小口化事業の健全な発展を目的とした「不動産特定共同事業法」が施行されました。
この不動産特定共同事業法に基づく不動産小口化商品は、大別すると民法に基づく「任意組合」型と商法に基づく「匿名組合」型の2種類に分けることができます。
ここでいう組合とは、不動産小口化商品を販売する事業者に該当します。
また、この法律は、小口化商品を販売する事業者に対し、経営内容等に厳しい条件を課しており、基準をクリアした事業者のみが小口化商品の販売が許されます。
さらに、以前は最低出資額が500万円でしたが、これが撤廃され、対象不動産の入れ替えや出資持分の第三者へ譲渡が自由にできるようになり使い勝手が良くなってきています。
それでは、特徴について見ていきますと、収入源はインカムゲイン(賃料収入)が主流ですが、元本や分配金の保証はされていません。
しかし、商品によっては、匿名組合の優先劣後構造を採用し、元本が30%以上減少しなければ投資家の元本は保証されるものもありますが、このような商品の場合、キャピタルゲイン(売却収入)等により元本が増加した場合でも、投資家は増加分については還元されませんので注意が必要です。
また、小口化されたとはいえ、他の金融商品と比較した場合、高額であるケースも多いのも事実です。
次に登場する不動産投資信託と比較されるのもいいでしょう。
・小口化不動産投資(匿名組合型)
以上、次回に続く
佐藤 益弘 氏プロフィール
・株式会社優益FPオフィス 代表取締役
・ファイナンシャルプランナー(CFP資格認定者)
・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)
・共栄大学(学校法人共栄学園) 非常勤講師
・気学士
東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、FP資格を取得。2000年8月より独立系FPとして独立。
㈱住まいと保険と資産管理、㈱ユナイテッドファイナンシャルプランナーズ、オフィス秀梨&コンサルティングネットワークス㈱ 以上、3つのFP関連会社の設立に参画する。
現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FPとして、そのネットワーク確立のため、マイアドバイザーを運営。
数少ない 金融商品販売を伴わない コンサルティング業務をメインとした 「お客様サイドのFP」「教科書通り のFP」として活動中。