第45回 収支予想をどうやって立てるか?(2)
前回から、収支予想をどうやって立てるか? というテーマでお届けしています。
今回は 2 回目。それでは始めましょう。
・収支予想のポイントI(販売業者が提示した収支計画をチェック)
また、以前の「投資計画をどうやって立てるか?」でお伝えした通り、資金計画は不動 産販売業者から提示されることが多いですが、その資金計画が「販売するための計画」に なっていないか確認しましょう。
つまり、収支予想でも同じく、「販売するための計画」いわゆる「バラ色」の収支計画に なっていないかを確認しておきましょう。
例えば、空室率は 0%として計算されている場合や、数年に一度の割合で家賃が上昇する といった場合、さらには、3 年に 1 度の割合で入居者が入れ替わり、その度に礼金が入ると いったようなものです。
現在の人口減少社会下での不動産市況から考えると、空室率が 0%という数字は現実的で はなく、空室率は 10~15%程度(=入居率 85~90%)で計算するのが妥当です。
また、デフレが恒常化しつつある経済状況下で、家賃が数年に一度の割合で上昇してい くということは「あり得ない」と思っていただいていいでしょう。
さらに、今後は礼金という慣習がなくなっていく方向にあると思われます。 ですので、礼金の収入をあてにした収支計画は危険です。
また、提示されている家賃が適切であるかどうかは、周辺にある競合物件との比較によ り、その家賃が適切であるかどうかのある程度の判断はできます。
ただし、その競合物件の立地条件(例.駅前にある)や建物の設備等の比較を考慮に入 れてください。
さらに、収支予想を自分で一から作成することは十分可能です。ただ、これらのことを 考慮しながら、不動産販売業者が提示した収支予想を自分でもう一度修正するといった方 法も考えられますが、中立的な立場にある不動産コンサルタントや不動産を得意とするフ ァイナンシャルプランナー等を見つけ、この収支計画を評価してもらうということも一つ の手段です。
次に、管理費に関しては、できれば実際に管理をする業者と直接お会いして、管理の内 容や管理費に関して確認しておくことが必要です。
さらに、中古物件の場合、修繕積立金が適切に積み立てられているか?や今後の修繕状 況について、確認しておくことは重要です。
また、売主が管理費を滞納している場合、買主に支払い義務が生じますので、滞納の有 無も確認しておく必要があります。
いずれにしても、収支計画を立てる時は、細かい部分の計算が重要となってきます。
単純に見込み収入と建物価格から年間利回りを算出しているだけでは後に後悔すること になるでしょう。
以上、次回に続く
掲載日時:2018年3月15日
佐藤 益弘 氏プロフィール
・株式会社優益FPオフィス 代表取締役
・ファイナンシャルプランナー(CFP資格認定者)
・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)
・法政大学 兼任講師
・気学士
東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、FP資格を取得。2000年8月より独立系FPとして独立。
㈱住まいと保険と資産管理、㈱ユナイテッドファイナンシャルプランナーズ、オフィス秀梨&コンサルティングネットワークス㈱ 以上、3つのFP関連会社の設立に参画する。
現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FPとして、そのネットワーク確立のため、マイアドバイザーを運営。
数少ない 金融商品販売を伴わない コンサルティング業務をメインとした 「お客様サイドのFP」「教科書通り のFP」として活動中。