第48回 地域の統計情報をチェックする
前回から、実際に不動産を購入する段階のお話しに移っており、「統計資料を分析する」というお話しをさせて頂きました。
今回は、更に深掘りして「地域の統計情報をチェックする」というお話しをさせて頂きます。
それでは始めましょう。
地域によってデータは異なる
購入物件を決める際に参考となるデータには、それぞれの地域を管轄する区役所や市役所などの自治体でも入手することができます。
前回お伝えした厚生労働省のデータは、日本国内の状況全般について示されているものであり、どの地域でも同じというわけにはいきません。
例えば、都市部と農村部では人口も世帯構成も異なります。これは当たり前のことですので理由を説明するまでもありません。しかし、都市部と農村部まで極端でないにせよ、隣接するエリアでも違いが見られる点にも着目しておきましょう。
人口と世帯数を確認する
下図は福岡市の人口データです。人口のほかにエリア別の世帯数も出ています。福岡市のように100万人を超える大都市でも、単に市の人口が多いからといって、十分な需要があると判断するのは早計だということになります。住宅は、世帯(独身者も含みます)で住むものですので、世帯数がどのくらいあるのかがポイントになるでしょう。
人口に対する世帯数が少なければ、子供がいる家族世帯が多いと推測できますし、またそれが都市中心部からある程度離れた場所で、ベッドタウンと呼ばれるような場所であれば持ち家の比率も高い可能性があります。
これらのことが意味することは、単身者用の物件は適していない地域であると考えられます。それでは家族世帯用の物件であれば適しているかといえば、一概にそうともいえません。
理由は、持ち家の比率が明らかに高いと思われる場所では、需要とされる借りる世帯自体が少ない場所でもあるからです。例えば、ニュータウンといわれる大規模な開発によって造成された分譲地が数多くあるような場所が該当するでしょう。
データ収集の利点
自分が住む家を見ないで選ぶ人はまずいないはずです。投資用物件を購入する場合も同じです。住むつもりではないにせよ、現地を自分の目で確認することはとても重要なポイントです。
しかし、離れた地域に何度も出向くのは時問もコストもかかり現実的ではありません。これらの情報はインターネットで簡単に見ることが可能で、中には、より細分化された詳細なデータが閲覧できるものもあります。恐らくここ数年で、」AI(人工知能)やVR(バーチャルリアリティー=仮想現実)により、現地に足を運ばなくとも一定の体験&体感ができ、判断できるようになるでしょう。
事前に地域性を調べることは、面倒な作業のようであっても、実は現地で無駄足を踏まないようにするため、引いては物件の選択ミスをしないための有効な対策と考えるべきでしょう。
以上、次回に続く
掲載日時:2018年5月1日
佐藤 益弘 氏プロフィール
・株式会社優益FPオフィス 代表取締役
・ファイナンシャルプランナー(CFP資格認定者)
・住宅ローンアドバイザー(財団法人住宅金融普及協会)
・法政大学 兼任講師
・気学士
東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、FP資格を取得。2000年8月より独立系FPとして独立。
㈱住まいと保険と資産管理、㈱ユナイテッドファイナンシャルプランナーズ、オフィス秀梨&コンサルティングネットワークス㈱ 以上、3つのFP関連会社の設立に参画する。
現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FPとして、そのネットワーク確立のため、マイアドバイザーを運営。
数少ない 金融商品販売を伴わない コンサルティング業務をメインとした 「お客様サイドのFP」「教科書通り のFP」として活動中。