第55回目 宅建業者名簿からパートナーを選ぶ
前回は「インターネット広告の読み方」というテーマで、数回に分けて、情報の取り方
についてお話しをさせて頂きました。 今回から数回に分けて、不動産業者との付き合い方について見ていきたいと思います。
今回は、「宅建業者名簿からパートナーを選ぶ」についてお話しをさせて頂きます。 それでは始めましょう。
信頼できる不動産会社とは
一般消費者にとって、不慣れな不動産取引を行うのは勇気がいることですし、心もとな いものです。
不動産をめぐる紛争、トラブルは非常に多く、大手不動産会社といえども裁判で争うケ ースは少なくありません。
物件の購入を担当する不動産会社が信頼できる安全な会社であることは、絶対条件です。 日本において不動産業は免許制となっており、不動産を取り扱う会社は、宅地建物取引業 者としての免許が交付されています。
免許には、複数の都道府県で営業していることを示す国土交通大臣免許と、一部道府県 で営業していることを示す都道府県知事免許があります。現在は5年ごとに免許は更新さ れ、免許番号の前のカッコ○内の数字が大きいほど、古くから営業しているということに なり、信用度が増します。
今の経済情勢からすると、必ずしも古いから安心とはいえないかもしれませんが、普通 に考えるなら地元で長く商売している会社であれば、あまりいい加減なことはできないで しょう。
宅建業者名簿を閲覧する
不動産会社は宅建業者名簿を閲覧することで、その概要を知ることができます。 閲覧場所は、免許の交付先にある宅建業管轄部署です。
では、宅建業者名簿ではどのようなことが確認できるのかみてみましょう。
● 過去の営業実績 取引態様別に過去5年間の営業実績がどのくらいかを確認でき、経験が豊富であるか
の見極めができます。
● 事業の沿革 いつから営業しているのかを確認でき、古くから手がけているかがわかります。
● 代表者や役員 代表去および役員の経歴、株主や出資者が確認できます。
● 資産の状況 個人営業の場合の資産状況、法人の場合の決算状況を確認でき、財務力が損なわれて
いないかの目安となります。
● 取引取引士 宅建業法で定める専任の取引取引士の氏名、経歴が確認できます。
● 商号や役員の変更 商号、役員の変更、支店の状況を確認でき、安定した経営がなされているかの目安に
なります
● 兼業業種 宅地建物取引業以外に行なっている業務が確認できます。
● 事務所の写真 事務所として届け出ている写真が出ており、会社の雰囲気などが確認できます。
● 過去の行政処分歴 過去に業務停止処分などを受けているかがわかり、処分の理由や内容が確認できます。
これらの中でも行政処分歴は重要です。過去に起こした問題の内容によっては、近づか ないほうが賢明だったりもします。また、何度も処分を受けているような会社も論外です。
悪質なケースでは、過去に行政処分を受けていながら後に、別会社を立ち上げ、処分歴 が出ないようにして、従来の会社をたたむというようなケースもあります。
インターネットの掲示板などの情報はケースバイケースです。
ただ、信頼のおける HP…例えば、公共機関や弁護士などの HP やで訴訟事案など事実が 掲載されている場合などは参考にされると良いでしょう。
不動産会社選びには慎重を要しますが、営業マンを選ぶことも忘れることはできません。
質問にメリハリのある適切な回答をし、丁寧である人をパートナーとして選びましょう。 煽るような言動、契約を急がせたり、迫るような態度、不親切な対応が担当者から見受け られるようであれば、誠実とは言い難いので、打ち切ったほうがいいでしょう。
以上、次回に続く
掲載日時:2018年8月15日
佐藤 益弘 氏プロフィール
・株式会社優益FPオフィス
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
数少ない 商品販売を伴わない 「お客様サイドのFP」「教科書通り のFP」として活動中。