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第58回目 賃料収入から購入価格を決める

 

前回から価格の見定め方についてお伝えしています。 今回は、「賃料収入から購入価格を決める」ことについてお話しをさせて頂きます。 それでは始めましょう。

利回りを見極めよう

投資という意味では不動産以外にもさまざまな投資商品がありますが、選ぶ際の判断基 準にはまず利回りがどのくらいかが検討する大きなポイントとなるはずです。

そして、その次にその商品の安全性がどのくらいなのか、内包するリスクにはどんなも のがあり、どの程度のものなのかを確認していくものです。これは不動産投資においても 同様です。

まず、利回りについてみてみましょう。投資用物件として売り出されているものであれ ば、宣伝広告媒体には(予想)利回り、あるいは(想定)賃料などが記載されているはず です。

利回りとは年間賃料収入を物件価格で割り戻したものです。

例えば価格が 1200 万円のマンションが売り出されていたとします。毎月 10 万円の賃料 なら年間賃料収入は 120 万円となります。この年間賃料収入を物件価格で割ると 10%とな り、これが利回りです。しかし、実際にはランニングコストとして、マンションの管理費、 修繕積立金、固定資産税都市計画税、火災保険、賃貸管理費などがかかるため、実際の収 入は減ります。不動産投資における利回りは、このように大雑把に出された表面利回り(グ ロスといわれる)と、運用する上でかかる経費を差し引いて詳細に計算される実質利回り (ネットといわれる)があります(図1参照)。

購入する側としては、実質利回りを見極めることが失敗しないためのポイントであるこ

とはいうまでもないことです。ところが、宣伝広告媒体に載っているもののほとんどは、 表面利回りでの記載となっています。そのため現実には購入者側か自ら算出しなければ、 実質利回りはわからない場合が多いのです。「不動産の価格がいずれ上がるだろうから問題 ないだろう」などと思わずに、購入前の検討段階ではコストの詳細を洗い出し、実質利回 りベースで投資対象を選別するようにしましょう。

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賃料収入から価格の目安を定めよう

購入価格を定める前に注意点を確認しておきましょう。まず前提となる賃料に問題がな いかを検証します。具体的には周辺相場を確認します。新築の場合、最初の賃料は高めの 設定となっているため、数年経過する間には下落する可能性があります。中古のオーナー チェンジ物件についても賃料水準が高めであることはよくあることです。購入前には魅力 的で喜ばしいことであっても、ずっと住み続けてくれるとは限りません。

賃料の下落局面では入居者が退去し、再度募集をかけるとしても、周辺相場が下がって いれば割高な物件となり、以前と同じ賃料では借り手がつきません。この物件は高く貸せ るなどとひいき目に見ることなく、客観的なバランスを持ちつつ、判断するようにしまし ょう。

次に入居率です。もちろん 100%が目標ですが、そうならないシナリオも考慮しておかな ければなりません。例えば、5年に1度入居者が退去し、再入居まで1ヵ月半を要すると、 入居率は(60 ヵ月- 1.5 ヵ月)÷60 ヵ月= 97.5%となります。

では、実際に賃料収入から購入するにふさわしい価格を考えてみます。

先の例で考えてみると毎月の賃料 10 万円、年間で 120 万円でした。維持管理コストが年 間で 20 万円だったとすると、実収入は年間 100 万円です。さらに入居率を仮に 97.5%と設 定すると、97 万 5000 円か年間収入と考えられます。これを不動産投資として適正と考え

られる利回りで割ったものが購入価格の目安です。適正な利回りがどのくらいなのかは、 経済情勢によります。ここ数年の土地価格と建設費の高騰により、利回りは 3%前後などに 下がっているケースが多いようです。

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以上、次回に続く

 

掲載日時:2018年10月1日

 


佐藤 益弘 氏プロフィール

株式会社優益FPオフィス
・ファイナンシャルプランナー(CFP)

数少ない 商品販売を伴わない 「お客様サイドのFP」「教科書通り のFP」として活動中。