第 71 回目 登記について(3) 登記内容を確認しよう
前回は、「不動産を調査方法」についてお伝えしました。 今回は、 「登記情報の内容」について話しをさせて頂きます。 それでは始めましょう。
「表示の登記」と「権利の登記」
土地や建物の登記簿謄本は「表題部」および「甲区」「乙区」と呼ばれる 3 つから構成さ
れています。
不動産の概要を示す「表示の登記」は「表題部」に記載され、所有権や抵当権などの権
利関係を示す「権利の登記」は「甲区」あるいは「乙区」へ記載されます。
また、「権利の登記」について、所有権に関する事項は「甲区」に、抵当権や賃借権など
所有権以外の権利に関する事項は「乙区」に記載されます。
「表題部」の見方
表題部には土地、建物について、次の事項が記載されます。
土地の「表題部」
①所在と地番 ②地目 ③地積 ④登記の原因およびその日付
⑤登記の日付 ⑥所有権の登記がされていないケースでは所有者の氏名・住所
建物の「表題部」
①所在と家屋番号 ②種類 ③構造 ④床面積 ⑤登記の原因およびその日付
⑥登記の日付
「甲区」「乙区」の見方
「甲区」を見ることで、当該不動産が誰の所有であるかが分かります。
土地・建物の「甲区」
①順位番号 ②登記の目的(例:所有権の保存、移転) ③登記受付日、受付番号
④登記の原因 ⑤権利者およびその他の事項
「乙区」を見ることで、当該不動産に付いている所有権以外の権利について確認するこ
ができます。
土地・建物の「乙区」
①順位番号 ②登記の目的(例:抵当権・地上権・賃借権の設定・抹消)
③登記受付日、受付番号 ④登記の原因 ⑤権利者およびその他の事項
登記事項証明書のサンプル
著書「不動産投資はじめ方マニュアル」より
「権利の登記」には順位が付けられる
土地・建物は売買され、所有者は次々と変わっていきます。誰が誰に売ったのか、これ
を順序立てて登記簿に記載していきます。
また、抵当権は一つの不動産にいくつも設定することができますが、抵当権が実行され
その代金に追及する場合、上の順位の抵当権者から順次債権を回収するので、順位を決め
ることが重要になってきます。
順位保全のために整理券のように順番を先取できる「仮登記」が設定されている場合が
あります。現時点で仮登記は正式な登記ではないので問題はないのですが、将来、この仮
登記が正式な登記になったときに、順番を先取りされているため、その後の登記は立場を
譲り、仮登記をしていた方に負けることになります。つまり、仮登記がされてる物件には
絶対に手を出さないことです。
以上、次回に続く
掲載日時:2019年4月15日
佐藤 益弘 氏プロフィール
・株式会社優益FPオフィス
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
数少ない 商品販売を伴わない 「お客様サイドのFP」「教科書通り のFP」として活動中。