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第 72 回目 登記について(4) 登記内容を確認しよう(2)

前回は、登記情報の内容 についてお伝えしました。

今回は、その続きからになります。 それでは始めましょう。

「甲区」に注目!売主が所有者になっているか

原則として、売主は登記簿上の所有者になっていますが、例外もあります。

売主は登記簿上の所有者と売買契約を締結しているが、あえて所有権の移転登記をせず にあなたへ不動産を売却してしまうケースがこれにあたります。

なぜ、売主は自分への所有権移転登記を行わないのでしょう。

後ほど、購入時にかかってくる税金についてお伝えしますが、登記には登録免許税とい う税金が課せられるからです。また、登記申請手続きは面倒であることから通常は司法書 士という専門家にお金を払って登記の申請手続きを依頼します。

これら諸経費をかけて所有権移転登記を行ったとしても、すぐにあなたへの登記が行わ れるのですから経費のムダを省くために登記簿上の所有者から売主への登記を省略してい るのです。

これを「中間省略登記」といい、広く行われている手法です。

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著書「不動産投資はじめ方マニュアル」より

登記簿の「甲区」を見れば実質的な所有者が分かるでしょうか。これは否です。

中間省略登記が認められている以上、売主に登記簿上の所有者との売買契約書を見せて もらうなどの調査を行わないと実質上の所有者が誰か判断することができません。もし、 売主が登記簿上の所有者と売買契約を結んでいないのに、あなたと売買契約を締結しあな たに物件の引渡しができない。こんなことにならないためにも、実質的な所有者が誰であ るかの調査が必要になってくるのです。

「乙区」は抵当権に注意せよ!

銀行などからお金を借りる場合、借り手が所有する不動産に抵当権を設定して借金の担 保とするのが一般的です。

もし、借金を返せない場合、お金を貸した銀行は裁判所に申し立て、その不動産を競売 にかけて強制的に売却することができます。競売で売却した代金から、銀行は貸したお金 を回収することになります。

この抵当権は不動産登記簿の「乙区」に記載され、借金を返済しない限り抹消されるこ とはありません。

注意しなければならないのは、抵当権が設定された不動産が第三者に売却されても抵当 権は消滅しないということです。

もし、あなたが、抵当権が設定された不動産を購入したとしましょう。(なお、抵当権が 設定された不動産の売買契約は法律的には有効です。)「甲区」にあなたが所有者である旨 の登記も行いました。

しかし、「乙区」に設定された抵当権も残っていますから、借金をした売主が返済を怠っ

た場合、せっかく購入した不動産は競売にかけられ、他の人のものとなってしまい、あな たは所有権を失ってしまいます。

もちろん売主に責任を追及することはできますが、借金を返済できないような売主があ なたの損害を賠償してくれるでしょうか? 実際、泣き寝入りするケースが多いのです。

このリスクを回避するには、契約時に売主の債権者である銀行も交えて契約を締結する のが良いでしょう。

あなたが支払った売買代金が売主を経由して銀行に支払われれば、銀行は抵当権の抹消 に同意してくれるはずです。

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これにより、安心して契約することが出来るのです。

 

以上、次回に続く

 

 

掲載日時:2019年5月1日

 


佐藤 益弘 氏プロフィール

株式会社優益FPオフィス
・ファイナンシャルプランナー(CFP)

数少ない 商品販売を伴わない 「お客様サイドのFP」「教科書通り のFP」として活動中。