第85回目 契約書について(6)
今回は、契約書 についての6回目です。
それでは始めましょう。
・ クーリング・オフ
手付解除では、手付金を放棄することで売買契約を解除しましたが、手付金を放棄す ることなく売買契約を解除できるケースもあります。たとえば、クーリング・オフとい う制度がこれにあたります。この制度は、売主が不動産会社(宅建業者)である場合に限って適用されます。
契約の締結や契約の申込が売主である不動産会社の事務所(一定の案内所含む)以外 で行われた場合、不動産会社からクーリング・オフできる旨およびその方法を書面で告 げられた日から 8 日以内であれば書面によって契約を解除することができます。不動産 会社の社員が訪問販売で買主の自宅を訪れ、勧められるままに契約書にサインするケー スでは、買主の購入の意思が弱いため、後日「やっぱり契約をやめたい。」と申し出るケ ースが少なくありません。契約時に購入の意思が希薄だった買主を救済するための制度 がクーリング・オフ制度なのです。
ですから、「契約したいので自宅に来てくれ。」と自分から事務所以外の場所を指定し た場合、契約締結の強い意志が読み取れるのでクーリング・オフできないことになりま す。また、すでに物件の「引渡し」を受け、代金の全額を支払っているケースもクーリ ング・オフはできなくなります。
実際にクーリング・オフで解除できるケースは希ですが、日常生活でも役立つ知識で すから、知っていて損はない制度です
・ 近年の民法改正について
ご存じの方も多いと思いますが、ここ数年の間に民法という私のたちの生活に影響の 高い法律が改正されます。具体的には、今回お伝えしている契約関係の話が 2020 年 4 月
1 日から 120 年振りに大改正されます。これはさすがに長期間改正されなかったので、実 社会と法律に大きな差が生じてしまったコトが改正に理由です。つまり、時代に沿った 内容に変更されます。
また、2015 年に相続“税”が改正され、賃貸アパマンブームが起きました。今度は相 続という仕組み自体が改正されます。こちらは既に順次改正が進んでいています。人生 100 年時代、超高齢社会に入っていることから、相続=争う家族にならないようにルール が約 40 年振りに改正されています。
それから 2023 年に家族関係のルールが改正されます。成人を 20 歳から 18 歳に引き下 げることで様々な諸制度が改正される予定です。
今後、このコラムでも、順次、お伝えしていきたいと思います。
以上、次回に続く
掲載日時:2019年11月15日
佐藤 益弘 氏プロフィール
・株式会社優益FPオフィス
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
数少ない 商品販売を伴わない 「お客様サイドのFP」「教科書通り のFP」として活動中。