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第98回目 透明で清く正しい管理の仕方(9)

賃貸管理の仕方について、お伝えしています。
今回で9回目。
今回は、原状回復トラブルについてお伝えします。
それでは始めましょう。

 

・原状回復とは?

「賃借人が部屋を返還する際、賃借人が設置したものを取り除いて賃貸人に返還すること」が原状回復義務の定義です。

たとえば、賃借人が自分で取り付けたエアコンを退去する際には自分で取り外して除去する。これにより部屋を借りた時の状態にすることを原状回復義務といいます。退去の際に「壁紙が古くなったから新しいものに交換して部屋を返還せよ。」と請求しても、これは認められません。そもそも時間が経てば建物は劣化し、汚くなって当然であり、その分はこれまでの賃料で回収しているので、原状回復の義務はないというのが通説になっています。
では、賃借人が故意や過失で部屋を毀損した場合はどうなるのでしょうか?賃借人は、他人の部屋を貸してもらっているわけですから、大事に部屋を使用する義務があります。他人の所有物ですから自分の部屋を使う時より注意しなければならないことになっています。これを「善管注意義務」と言います。故意や過失で他人の部屋を毀損させたらこの「善管注意義務」に違反したことになり、損害賠償の責任を賃借人は負うことになります。

これら2つのケース以外では、退去する賃借人に原状回復を請求することは難しいと考えてください。

 

・原状回復義務と敷金

賃借人が過失により部屋の壁に穴をあけたにもかかわらず、原状回復義務を怠ったまま退去した場合、どうすればよいのでしょうか。賃借人に損害額を請求しても、原状回復を行うための費用を払ってもらえないケースもあります。このようなケースに対応するため、賃貸借契約締結時に賃借人から敷金を預かる慣習が日本にはあります。原状回復義務を怠った場合に備えて、あらかじめ敷金という担保をとっておくのです。関東では概ね家賃の2ヶ月分、関西では6ヶ月分程度を敷金で預かるケースが定番になっていましたが、最近はこのケースに当てはまらないケースも出ています。

 

万一、原状回復の必要が生じた場合、賃貸人は敷金から原状回復に要する費用を差引 いて、なお残額がある場合にはその金額を賃借人に返還することになります。
敷金の返還については、これまで多くのトラブルが発生してきました。原状回復の意 味が一般に周知されていなかったことと、その範囲の解釈に曖昧な部分があったため、 賃貸人が自分の解釈で原状回復の費用を敷金から差引いたことが要因として挙げられます。
国は、敷金返還トラブルを未然に防止するため、平成10年3月に原状回復のガイドラインを公表しています。そのなかで、原状回復は賃借人が借りた当時の状態に戻すことではないことを明確に規定しています。また、2020年4月に改定される民法(債 権編)でも新たに規定されるようになります。

以上、次回に続く

 

 

掲載日時:2020年6月1日

 


佐藤 益弘 氏プロフィール

株式会社優益FPオフィス
・ファイナンシャルプランナー(CFP)

数少ない 商品販売を伴わない 「お客様サイドのFP」「教科書通り のFP」として活動中。